このごろの若い者−−と言われるがそうではないというお話です。
大井川鉄道では10年来、毎秋ヤングメッセージ大会を開き、入社数年のヤングが体験や所感をナマの声として発表する。
途中入社でも資格があり兄弟会社を含め鉄道バス、旅行業、技術系などいろいろな業種の新人が集まり、優秀者にはサイパン旅行などお土産もある。
発表は上手、下手でなく中身が勝負である。
この大会に私は欠かさず出席する。なぜならこれによりいつも私自身が励まされ、感動を新たにするからである。
毎年上位に入るのが大鉄観光バスのガイドさんである。商売柄当然かというと実はそうではない。若くして学校から第一線に投げ出され必ず一度は何ともならない、明日はやめようというところに突き当たる。これを乗り越えて、あの酔った人にも言うに言えない悩みがあるんだと分かり、歌やお話を楽しんでいただきやがて最後にはガイドさんありがとう、また次回もあんたにと言われる喜びをつかみ、やがて自身と生きがいをもって突っ込んでいく。それは感動意外の何ものでもない。
ガイド指導の先生は涙が止まらないというが、涙腺の弱い私も涙を隠すのに大変だ。
中には遠くから来ている子も多いが今秋の発表では「私は仕事に出る日はどんな時でも気合いを入れてやってます」との発表があった。世の男性諸君、果たして本当に気合いは入っているか、少しとはいえゆるみはないか、私自身きびしく問われる発表である。
全く自由に言ってもらっているがこうしてほしい、こうあるべきといったボヤキは少なく、「私はこうした」という自己主張ばかりで近ごろの若者論に反発するゆえんである。
こんな素晴らしいガイドさんと楽しい歌声を乗せて観光バスは今日も走っている。
(静岡新聞1992年11月10日夕刊一面「窓辺」より)
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