奥大井テーマパーク

白井 昭

 長崎オランダ村はじめ参加型の人工的テーマパークが盛んであるが、欧米では参加型の動く鉄道博物館というものが盛んになっている。
 アメリカでは動く電車の博物館が各地にあり、ボランティアの運営でお客も運転ができて楽しいが、日本でもやがてはこのような時代が来るだろう。
 戦前からの歴史を持つ西岸の電車博物館はボストン、NYなど西岸の電車を命じ、大正、昭和と集め、今でも走る電車が百両近くという大規模なものである。
 いわゆる動く野外博物館(アウトドア・ミュージアム)のひとつであるが、イギリスではお国柄からSL列車の方が多い。
 県内でも佐久間レールパーク、清水のフェルケール(交通)博物館、修善寺虹の郷の小さな鉄道などが生まれ当県の文化の一翼を担っているが、大井川鉄道も少し広義の野外鉄道博物館と言える。
 大鉄はこの道の先発として各地の小鉄道開設のお手伝いをして来たが、先年始めた木曽森林鉄道は大人気を博して近隣町も新しい計画を進めており、野辺山SLランド、嵯峨野観光鉄道など皆好評で、私の所には各地の新計画の相談が次々と入っている。
 鉄道の保存というSLとなるが、SLばかり考えるのは目が狭く、客車や建物など幅広く歴史を残すことが大切で、この点佐久間レールパークなどは有意義な存在である。
 大井川地域でも大鉄のSL、アプト式から幅を広げて奥大井全体の鉄道の広域テーマパークとしたらと考える。
 千頭にはお客が運転できるミニ鉄道、いえ山の桜トンネルには楽しいミニ電車、接阻峡、井川にもユニークな軽鉄道など色々な形の参加型テーマパークにすれば、来世紀には必ずや価値ある存在となるだろう。
 これらの小さい鉄道の人気の秘密は歴史保存の重みとメルヘンの楽しさが同居しているところにあり、新しい形のテーマパークとなるであろう。

(静岡新聞1993年1月12日夕刊一面「窓辺」より)


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